2021/9/13 10:55

真壁に鎖で引きずられ、桜庭とは共闘!? 新日本の現状に苦言!木谷オーナー発言で見る、新日本プロレスの10年

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真壁に鎖で引きずられ、桜庭とは共闘!? 新日本の現状に苦言!木谷オーナー発言で見る、新日本プロレスの10年
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西武ドーム2連戦を経て、木谷オーナーが危機感を口に!


 当然のことながら、仕事同様、友人にもプロレス好きが多いのだが、その仲間うちで、昨年の4月より、頻出した言葉があった。「ワールド、退会しちゃったよ」。『新日本プロレスワールド』のことだった。ご存じ、月額僅か999円で、過去のアーカイブは勿論、現行の試合が生中継で見放題の新日本プロレスの動画サービスである。それらの発言は、コロナ禍により、当座の試合日程が消滅したことでの、やむを得ない反応だった。もちろん、その後、興行は復活しているが、まだまだ緊急事態云々も言われる世情だけに、かつての熱が取り戻せたとは、とても言い難い現状でもある。

 両日とも2千人台の動員に終わった、先週末の新日本プロレス・西武ドーム大会2連戦に、厳しい講評が飛んだ。「謙虚に受け止めて、反省しないといけない部分はある。活気、勢いを取り戻さないと」発言の主は、木谷高明。そう、株式会社ブシロードの創設者にして現在は同代表取締役会長、そして、新日本プロレスのオーナーである。(おや?)と思った。同氏が新日本プロレス、それも、全体的なムードに危機感を漂わせたのは、2012年にブシロードがその親会社となって以来、初めてのことだったためだ。逆に言えば、事態はそれだけの危急性をはらんだものだと言えるだろう。

 今回の当欄は、部分的ではあるが、この木谷オーナーの発言で新日本プロレスの10年を振り返り、また、次段への改善点を探りたい。

初期には桜庭のセコンドも。


 木谷高明氏は、1960年、石川県金沢市生まれ。子供の頃から大のプロレスファンで、『週刊プロレス』『週刊ゴング』『週刊ファイト』を毎週購入し、愛読。2012年に新日本プロレスの株式を全所有し、その会長職にも就任したわけだが(※2013年9月まで)、プロレスファンとして、熱烈な新日本信者という横顔だけだったわけでもない。特に2000年代前半、幅を利かせたPRIDEについては、「全大会の3分の2は、会場で観ている」と述懐。2012年の会長就任時には、「目標は打倒WWE」と言っているが、そのWWEも大好きで、レッスルマニアの5と17は、これまた現地で観戦している(5のメインはハルク・ホーガンvsランディ・サページ、17のメインはザ・ロックvsスティーブ・オースチン)。つまり、その上で新日本プロレスの復活を目指したわけだから、問題点の洗い出しぶりも確かだった。当時の新日本の低迷を、「発信力の差」と総括。BSやCS放送含め、メディアを利用し、認知アップに尽力した。広告費も、初年度は3億円を超え、公共交通機関を覆うラッピング広告などを積極展開。その真意は、「プロレスを口に出せる状況にするため」。「総合格闘技の一時的な躍進で、プロレスファンは、それを口に出しにくい状況になってしまっていた。そこで、駅に大型広告等を出すことにより、プロレスの話題を、みんなが出せるようにした。『G1って、まだやってるんだ。俺が観てた時は蝶野が優勝して……』『えっ?お前もプロレスファン観てたの?』というように」このくだりや木谷氏のプロレスへの思い入れは、拙著の類で何度となく書かせていただいたが、つまり、“プロレスには潜在的ファンが多い”というのをわかっていたのである。

 初期には、積極的にプロレスラーと絡む姿も。戦略発表会ではCM出演が決まった真壁に、「いかにも悪役と言った表情ですね~」と感想。「ふざけろよ、木谷ちゃん」と、真壁にチェーンで引きずられていた(2012年2月29日)。ブシロード体制となってから初の東京ドーム大会となった2013年1月4日には、中邑vs桜庭のセコンドに。しかも桜庭サイド。同一戦を、「21世紀の猪木vsウィレム・ルスカ」と位置づけ、「桜庭選手の立場で、この一戦を見届けたい」とした(桜庭からは、「ピンチになったら、レフェリーに見つからないように、中邑選手の足、引っぱってもらっていいですか?」と言われていたが)。会長就任1年目のこれらは、なんとか自分でも新日本を盛り上げたいという一心の表れだったと思う。事実、2年目以降は、木谷氏がプロレスラーや、ましてやリング上の諸々に絡むことは激減。1年目の大規模な広報作戦が功を奏し、新日本プロレスが上昇気流に乗ったのだ。事実、2年目以降の広告費は大幅に減少。選手のSNSによる自己発進を徹底させたこともあるが、それは、無理に宣伝しなくても、新日本の認知と人気が堅調に上がって行くという確信も意味していた。

攻めの姿勢だった、この10年。


 以降は、次々に攻めに打って出た。2014年4月には、冒頭でも触れた『新日本プロレスワールド』を開始。「(同様の動画サービス、)WWEネットワークが70万人。日本ではまず10万人を目指したい」とし、2016年1月には、大手芸能事務所アミューズと提携。翌月には、アマレス、及び総合格闘技の猛者、岡倫之を獲得。前者の際は、「日本のロック(現俳優ドウェイン・ジョンソン)を作りたい。日本のプロレスラーから世界的に有名な映画俳優を出すためです」とコメント。後者では、「世間から舐められたくない。ロックがいてブロック・レスナー(総合格闘技のUFCで世界ヘビー級王座を獲得)がいるのがWWEの強さ。両面を攻めていきたい」と宣言。2つの発表の時期が近かったこともあるが、その深慮に驚いたものである。

 2017年7月1日、2日には、米・ロサンゼルスで単独興行を開催。こちらの理由は、「悔しいからですよ。(WWEへの)反撃ののろしです。攻められっぱなしじゃ、悔しいじゃないですか」以降、ロサンゼルス道場も稼働し、海外での新日本主催興行が常態化しているのは周知の通り。近年、『新日本プロレスワールド』の登録者の20%以上は、海外からのそれだという。2019年10月には女子プロレス団体『スターダム』もブシロード下に。この際には、こんな見解を残した。「世界的にプロレスのみならず、格闘技、他のスポーツでも女子が大きな位置を占めている。新日本プロレスは海外で興行をすると、なぜ女子の試合が1試合もはいっていないのかと言われる。その中で、何もやらないでいいのかと思った」(10月17日・スターダム新体制発表会見)。もちろん、新日本プロレスに女子の試合が混ざることに疑義はあろうが、先日の西武ドーム含む、提供試合といった形でこちらは交流。そのグローバルな視座に感じ入らざるをえなかった。

 もっとも、その発言が、SNS上で物議を醸したこともある。曰く、「全てのジャンルは、マニアが潰す」(2014年)

選手側の発信に期待!


 聞いた瞬間は、筆者にとっても耳が痛かったのだが(苦笑)、同発言を精査すると、こういうことだったようだ。「私は、プロレスに限らずさまざまな娯楽は、それを熱烈に支持するコアファンが“衰退させる”と考えている。より正確に言えば、コアファンの熱烈な支持にあぐらをかいて企業が努力を怠ると、他の人々にとっての敷居が知らず知らずのうちに高くなり、市場が衰退していくのだ」(『日経トレンディ』2014年4月号)

 では、現在の新日本はどうか?敷居は完全に下がったと見ていいだろう。女性ファンの比率は2013年以降、増えるばかりだし、子供のファンも増えた。つまり、支持はあるのだ。

 では、何がないのか。それは、まさに木谷氏の言葉をそのまま借りれば、「活気、勢い」ということになろう。いわば、熱を取り戻す闘いが肝要ということになる。

 時機的に、取り計らわねばいけない部分もあると思う。それは、これまで新日本の海外戦略が上手くいっていたのに、このコロナ禍で、外国人選手が呼びにくくなってしまっている現況である。木谷氏自身、「外国人選手が来られないという点は仕方ないと思うんです。ただ試合数を増やす工夫はあってもいいかもしれない」と、件の西武ドーム大会の後、コメントしている。

 現IWGP世界王者の鷹木や、現タッグ王者のタイチなど、内容を高レベルで残せる選手は多いし、それこそ西武ドーム大会初日の棚橋vs飯伏など、胸のすく好勝負だった。次期シリーズのG1 CLIMAXを前にして、心強いのは、その開幕戦でオカダと戦う棚橋弘至の決意だ。「12年にブシロード体制になってポーンと跳ねるわけじゃないですか。その年の象徴的なカードが棚橋対オカダだった。今このコロナ禍の状況で、もう一回新日本を動かすような試合を大阪で始めたいんです」(『東京スポーツ』9月10日付)。そう、必要なのは、その気持ちの外への発信だとも思う。

 この10年で新日本とファンの間に出来た絆は強いと見る。危機感とともに、胸を張った選手側の対外的なアピールに、まずは期待したい。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

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  • そりゃあ日本のプロレス団体が“似非WWE”に変貌しているのですから、筆者の友人が愛想を尽かすのは必然的にかと思われます。

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    (2021/9/23 20:01)
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