2021/6/6 10:43

2足のわらじ履いてた、あのWWE女子王者!田口は占い師の副業!? 拳王がDDTのプロレスを“全否定”!プロレス兼業問題を探る!

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拳王がSNSで、DDTを全否定!


 まだまだコロナ禍の昨今、ビッグイベントが軒並み延期や中止になってきたプロレス界だが、そんな中、注目されるのが、6月6日(日)。さいたまスーパーアリーナで、『サイバーファイトフェス』が行われるのだ。『サイバーエージェント』下にある4団体(DDT、ノア、東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレス)が一堂に会し、垣根を超えたバトル。各々の団体が保持する王座戦もおこなわれ、華やかなオールスター戦の趣すら醸し出している。

 ところが、6月3日(木)夜、不穏な形で波紋が生じた。第30代のGHCヘビー級王座に輝くノアの主力、拳王が、自身のTwitterで、以下の発言をしたのだ。

『プロレス団体それぞれの戦いやスタイルはあると思う。だが、本業の片手間でプロレスやられてもな。俺は #ddtpro のプロレスを、全否定します。』

 これに対し、僅か数時間の間に、DDT側から反応が噴出。

『副業をやっていても強い人は強いし、上手い人は上手い。逆に本業でプロレスやっていても弱い人は弱いし、塩な人は塩。要は素質と向上心があるかどうかだと思う。90年代や00年代とは違うんだよ。さいたまで勝って、この不毛な論争は終わりにする』(高木三四郎・Twitter)

『テメェに本業、副業語られる筋合いなんてねえんだよ。両方本業やったことあんのか?』(坂口征夫・Twitter)

 偏向なきよう、いずれも全文掲載させて頂いたが、高木はもちろんDDTの代表、坂口征夫は当の『サイバーファイトフェス』の第8試合で、まさに拳王と絡むことが決定している(高木三四郎&彰人&樋口和貞&坂口征夫&吉村直巳&納谷幸男vs拳王&中嶋勝彦&征矢学&覇王&仁王&タダスケ)。更に、無関係かもだが、これらのツイートがなされた同時間帯、ノアの新時代を担う清宮海斗が、『このままだと一生後悔するな』(全文ママ)と同じく呟いているのも気になるのだが……。清宮は『サイバーファイトフェス』でDDTの有望株、竹下幸之介とのタッグマッチが決定している(竹下、上野勇希 vs 清宮・稲村愛輝)。なお、直近の清宮の呟きは、『俺は今まで竹下選手を意識した事はない』(6月3日)、『ずっとわかんなくて、考え込む事が癖になってしまった』(5月28日)。後者に関しては、DDTというより、5月22日にNOSAWA論外と対戦。大流血の末、自身がリングアウト負けし、「これがプロレスかよ!?わかんねえよ!」と錯乱したことと関連しているとは思われるが。

 今回の当欄は、この、『プロレスラー兼業』について、拙筆してみたい。

『副業、バイト無し』は、ドラゲーも。


 90年代の前半、ある出版社が主宰した、ファン同士の座談会にお呼ばれしたことがあった。当時は、FMWなど、いわゆるインディー団体が勃興していた時期。そんな背景もあり、「何を持って、プロレスラーとするのか」という議題に突入。なるほど、プロレスラーはライセンス制ではないし(※実質1団体だった日本プロレス時代は除く)、今考えると、先見の明すら感じるテーマだったと思う。うち、一人の参加者がした主張が忘れられない。「プロレスだけで、食べていけるのがプロレスラー」。

 この視座で言えば、まさに拳王はその経歴含め、プロ中のプロと言って良いだろう。もともと日本拳法の申し子として、全日本選手権史上最年少優勝、フランス大会優勝、学生選手権大会2連覇などなど、アマでは申し分のない実績を誇り、その時分、他流派との試合もこなしたが、所属道場に、以下の厳しい掟があった。「もし他流派に負けたら、丸坊主」。しかし、拳王の髪が短くなることはなかった。

 ところがである。拳王はプロレスラーとしてのデビュー戦でアレクサンダー大塚に敗戦。内容的にも、拳王の距離に入らないアレクの上手さが光り、完敗だった。試合後の拳王のコメントは悲痛だった。「なんなんですか、これ。僕はほとんど(日本拳法では)勝ってきました。なのに、何も出来なかった。何でなんですか?」同時にこうも言い残す。「俺は絶対、プロレスでトップを獲ってやる!」事実、デビュー3ヶ月で、デビューして御世話になった筈のみちのくプロレスを離れた。なんと、他団体参戦を中心とする武者修行に出たのだ。うら若き時点で、フリーで戦って金を稼ぐという選択をした拳王だけに、それと兼業で何かをおこなうという思考も、ないと言えば当然だろう。

 最近の新日本プロレスでも、副業が話題になったことが。今年の1月5日、東京ドーム大会で、デスペラード、金丸の持つIWGPジュニアタッグ王座にワトとのタッグで挑戦を控えた田口は、会見でこう言った。「1つ気になる点があるとすれば、 私が最近趣味でやっておりますタロット占いで、何回やってもこのまま私たちが勝つというカードが出てこない……。ですので、勝てばワト選手のグランドマスターへの道の第1歩。負ければ、『当たるタロット占い』ということで、タロットマスターとしての副業の第1歩が開かれるかなと。勝っても負けても、グランドマスター、タロットマスター……」(※前年12月23日)

 要するに、副業云々などただのネタだったわけだが、老舗メジャー団体においてはそれが基本スタンス。近年の拙著で、天龍が1986年当時、長州力の率いていたジャパンプロレスの若手がガソリンスタンドでバイトをしていることを知り、「恥ずかしいから、ウチから毎月5万円振り込んでやれ!」と妻に厳命したことを書かせて頂いたが、35年以上前の話だからとか、新日と全日しかない時代だからというわけでもない(他団体の若手の金を持つところは天龍らしいが)。2008年12月19日には、ドラゴンゲートの岡村隆志社長が、翌春の両国国技館に初進出するにあたり、こうコメントしている。

「うちはメジャー、インディーは気にしていない。ただ、アマチュアにはなりたくない。プロでありたい。副業をしながら(プロレスを)やるようになったら辞めるべきだと思っている」

 こちらと相容れない見地を持つ1人が、DDTの高木三四郎社長ということになるのかも知れない。

“三足のわらじ”を履く、坂口征夫


 2018年4月1日、DDTにて『敗者追放マッチ』がおこなわれたことがあった。追放理由がある選手が8人挙げられ、負け残りマッチをおこなうのだが、うち一人である、石井慧介選手の追放理由は以下だった。『肉酒場「けい之介」の経営が副業に当たり、社員規則に反しているため』。石井選手は勝ち残り、咎められずに済んだわけだが、それ自体をプロレスのトピックとして活かすところは、なんともDDTらしい。というのは、名は秘すが、老舗プロレス団体で40年以上の歴史を誇る、あのシングルリーグ戦で過去、優勝しながら、実はコンピューター系の企業に勤める選手がいるのだが(ただし、情報は2018年時点)、彼はこのことを黙っているし、専門誌にこの事実は載らない。そして、ネットでもこの情報が一切出てこないところは、逆に凄いと筆者は思うのだが、彼が筆者に言ったことがあった。「会社に(プロレスをやってること)バレてなきゃいいんですがね」。筆者は「そうですねえ」と答えたが、既に多数のタイトルも獲得していた御仁。内心、(いやいやいや、絶対バレてるでしょ!)との声が心を巡ったものである。つまり、黙して語らずで、それでプロを全うしている選手もいるわけである。もちろん、公表する選手も多数存在。2009年よりデザイン会社の社長だった華名はその好例か。当時、取材させて頂いたが、見ると、ウサギのように充血した目。「寝てないんですよ(笑)。練習と試合以外は(デザイン会社の)仕事ですけど、寝る時間を惜しんでも、プロレスは続けたい。むしろ、だからこそ両方、いい仕事が出来るんだと見せつけたい」華名がレスラーとして良い選手かどうかは、現アスカとしての大成ぶりでわかろうもの。その意味では、冒頭の高木三四郎のツイートも、まさにその通りだと言えよう。

 そして、今回の拳王のツイートに一早く反応した坂口征夫である。内容から言っても、「自分のことを言われている」と感じたと思われる。その坂口は、二足どころでなく、三足のわらじを履く選手。プロレスラーとしてDDTに所属する傍ら、坂口道場横浜を経営。さらに、水道管工事会社『坂口組』代表も務めている。道場は、父、征二と弟、憲二の懇願により、最初は練習生、後にはプロの総合格闘家としての参加だったが、現在は自分が経営側に。水道管工事会社は、自らの務めていた建設会社の恩人が急死したことで、自身がその穴を埋めるために邁進。同社が「もう一つ、会社を作ろう」となった時、社長として名が挙がったのが征夫だった。彼自身の発言を紐解こう。

「プロレスと会社・道場の経営は一見バラバラの活動のようですが、実は全てが円になって循環させています。(中略)円の中にいる人たちにも良い効果を与えることができています。例えば、道場に通う総合格闘技の世界チャンピオン。彼は(中略)うちの会社に入社しました。土方仕事をしながら格闘技をし、念願の世界チャンピオンにまで上り詰め、ジムも作りました。こんなふうに、自分が作った円を活用して成功する人たちが出てくると、自分がやってきたことは間違っていないのだと感じます。」(株式会社ドットライフHP『another life.』より抜粋)。

 こういった坂口の頑張りを、どう受け取るかによって、印象は変わってくるのだろう。

試合を降りない姿勢に、新たな風景が。


 ここからは私見になってしまうので恐縮だが、プロレスファンとしては昭和からの筆者なので、考え方としては、拳王に一票入れたい気持ちがある。だが、長年生きていると、二足のわらじを履くことの大変さというのも、同時に感知せざるをえない。その肩書を持っているということは、両方を失敗せずにやり遂げているという証左に他ならないからである。どれほどの努力が、そこに内在しただろうと思う。

 そして、別に評価したいこともある。それは、こういった発言をした拳王が、それでも特に試合を欠場することなく、しっかり試合をするという姿勢である。筆者自身、今まで何度も、プロレス観の違い(もしくはただ単に好き嫌いかも知れないが)という理由で、片側の選手が降り、内定されたカードが潰れたのを見聞きしてきた実感がある。だが、今回の拳王は違う。否定した上で、しかし、試合からは下りない。それも、拳王のプロレスラーとしての心構えなのだろう。だからこそ、当日、体でわかる機会も得られる。征夫のプロレスが、片手間のそれなのかどうかを。

 4団体が同舟するからこそ、プロレス観の違いはあって当たり前。その争いが生み出す熱を、当日、楽しみにしたい。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

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