2021/4/12 9:44

あのレジェンド・ヒールも使用!引退後もグッドシェイプの飯塚!5月3日に封印マッチ!アイアンフィンガー・フロム・ヘルの歴史

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あのレジェンド・ヒールも使用!引退後もグッドシェイプの飯塚!5月3日に封印マッチ!アイアンフィンガー・フロム・ヘルの歴史
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5月3日、タイチとタマ・トンガの間で、争奪マッチ!


 新日本プロレスにおいてラダーマッチが初導入されたのは、正式には別ブランドだが、2006年より始まる『WRESTLE LAND』からだと思う。エンターテインメント色を前面に打ち出した同大会の第9回のメインで、リング上に吊るされた鉢巻きを取り合うラダーマッチが実現。それも、棚橋弘至、中西学、TARUによる3WAYマッチ。この試合の副題が、『天国vs地獄vs中西』だったのもある意味凄いのだが、実際、ゴングが鳴ると、その中西により、なんともシュールな光景が。こちらは先日、上梓させて頂いた拙著でも触れさせて頂いたが、ラダーを強奪し、それをリング上に設置し、大柄な中西が駆け上がるも、鉢巻きが取れなかったのである。設置位置が1m以上、横にずれていたのだった(※場内は爆笑)。

 どうやらこちらに勝るとも劣らぬ、異彩を放つシーンが見られるかも知れない。4月5日、新日本プロレスが次期シリーズの主要カードを発表。5月3日の福岡スポーツセンター大会で、同リングでは久しぶりのラダーマッチがおこなわれることが明らかに。しかも、タイトルは、『アイアンフィンガーフロムヘル争奪ラダーマッチ』。そう、あの飯塚高史の遺産である、アイアンフィンガー・フロム・ヘルを天井から吊るし、奪い合う趣向となったのだ。昨年後半より、タイチとタマ・トンガの間で奪い合いが行われて来たアイアンフィンガー。同一戦もこの2人の間でおこなわれるとはいえ、ラダーの先に、ベルト等、前向きな価値あるものが吊るされるのは聞いたことがあるが、凶器が吊るされ、しかもそれを奪えば決着となるのは、前代未聞と言っていいだろう。しかるに、同凶器こその類いまれな存在感が、ここまでの展開を生み出したとも言えると思う。

 今回の当欄は、引退後の飯塚高史の出没情報含め、このアイアンフィンガー・フロム・ヘルの歴史を辿りたい。

ヒールターン初日から使用!


 アイアンフィンガーの初登場は、2008年5月2日の新日本プロレス、後楽園ホール大会。ちょうどこの5日前の大阪府立体育会館大会で、飯塚が天山を裏切る事態が勃発。この日の大会は、日程的にその次の大会となり、しかもカードは早くも天山vs飯塚。果たして飯塚はスキンヘッド姿で現れ、加えて腕を三角巾を吊って登場。何かあるなと思いきや、そちらからアイアンフィンガーを取り出して装着し、天山に地獄突きの一撃!試合は僅か2分9秒でノーコンテストとなった。驚くべきは飯塚の変貌の早さ。スキンヘッドはもちろんだが、ヒールとしての初戦である同試合に、早くもアイアンフィンガーを仕込んでいたことになる(※なお、当時の報道では、ただ単に『鉄製のグローブ』と表記。『アイアン・フィンガー・フロム・ヘル』となったのは、5月15日の大阪大会から)。

 以降、さまざまな歴史を刻んで来たアイアンフィンガー。GHCヘビー級戦では乱入で王者・丸藤に炸裂させ、鈴木みのるの同王座奪取に加担したし(2015年3月15日)、2010年1月4日の東京ドーム大会では、飯塚、矢野、石井智宏と組んだアブドーラ・ザ・ブッチャーも使用!もっとも、そちらで攻撃したのは、パートナーの飯塚と矢野。早く言えば仲間割れだった。よくよく考えれば、自らの代名詞である地獄突きを飯塚がアレンジして使っていたわけで、ブッチャーの怒りもむべなるかなだったが。オールスター戦『ALL TOGETHER』の、武藤&小橋vs矢野&飯塚でも登場。幸い、小橋はかわしていた。余談ながら2010年には、こちらを模した携帯ストラップが、グッズとして発売されている。

 結局、2019年の引退まで飯塚はこちらを使い続け、それをタイチが引き継いだわけだが、つまり、飯塚だけで11年の歴史がある凶器ということになる。古来より、多種多様であるプロレスの凶器。実際の試合の攻撃で使われたものだけでも、ディック・ザ・ブルーザーのメリケンサックやグレート東郷の下駄、ターザン・タイラーは指先に小石を入れてバンテージで巻いていたし、ジ・エンフォーサーなるレスラーは、電流の流れる鞭を使っていた。古くていささか恐縮なのだが、さらに付記すると、そのエンフォーサー、1981年1月に新日本プロレス、同年7月に国際プロレスに参戦。ところがこのエンフォーサー、前出の鞭は、国際プロレスでしか使わなかった。考えてみれば新日本の常連だったタイガー。ジェット・シンも上田馬之助も、その代名詞であるサーベルや竹刀を、試合内では積極的には使ってはいない。以降の新日本プロレス参戦選手の中でも、すぐに凶器と結びつけられる選手もいない(せいぜい、“イス大王”栗栖正伸くらいだろう)。いささかオーソドックスな視座になるが、メジャー団体たる新日本プロレスにおいて、とりわけ本格派の選手だった飯塚がヒールターン、更に実働的に凶器を使うことに、やはりインパクトがあったのだと思う。それも、ファンのみならず、当のレスラーたちに対しても。というのも実はこのアイアンフィンガー、悪く言えば模造品、良く言えば大変、使用するフォロワーが多い凶器でもあったのだ。

門外不出のその製法。


 最初に真似たのは長井満也。飯塚による初使用から3カ月後の2008年8月より、上がっていたDDTにて使用。しかも三角巾から取り出すという熱の入れようだったが、その名称は、『アイアンフィンガー・フロム・アルミホイル』。炸裂させてもカウント1で返されていたのは、素材のチープさゆえか。デスマッチの大家、大日本プロレスでもアブドーラ小林が着用。初使用は2014年10月31日(後楽園ホール)、凶器の持ち込みが許されるデスマッチにおいて。取り出した瞬間、場内から大「飯塚」コールが起こったのは語り草。なお、こちらの呼び名は、『アイアンフィンガー・フロム・ヘブン』でした。老舗である新日本プロレス初の、行ってみれば公認のオリジナル凶器ゆえ、オマージュ宜しく、借用も多くなった感があった。

 女子プロ界の使い手としては、藤ヶ崎矢子が有名。もっとも、主にカンチョー攻撃に使われていたが。また、インディ界の怪人、小仲=ペールワンも使用。しかし、こちらは試合中、壊れることもあった。

 この、ペールワンや長井の件で思い出すのが、2010年代中盤、新日本プロレスを扱う何冊かのムックに向け、企画会議をしたときのことである。『棚橋弘至に、エアギターのプロが指導する』『後藤洋央紀が心酔する長渕剛と、一緒に筋力トレーニングをする』などなど、まあ、思いつくのはタダなので、縦横無尽なアイデアが出たのだが、その中に必ず、以下の切り口があったのだ。『アイアンフィンガー・フロム・ヘルの製法を教えてもらう』。その上で、『自宅で作れるアイアンフィンガー』といったような、汎用性のあるページにするという企図もあったと思うのだが、何度か当欄でも書いてきたように、飯塚個人への取材は、新日本プロレスにおいてはNG扱い。幻に終わったし、結局、未だその素材も、やはり謎なのだった。

引退後は素手の飯塚。


 引退後、飯塚が公の場に姿を現したのは2度。いずれも『ももいろクローバーZ』のライブに登場したものだ(2019年12月31日、及び、2020年8月2日)。ももクロメンバーを襲うレスラー役だったわけだが、現役時同様の黒タイツ姿で、グッドシェイプなのも驚いたのだが、更にビックリしたのが、黒のアゴ髭も現役時同様、残っていたこと。通常であれば剃っていてもおかしくはないし、いずれにせよ、現役時と変わらず、髭を残していることになる。昨年、つまり2020年8月2日時の登場では、加えて、感じるものがあった。プールの中で、ももクロのメンバー4人を飯塚が追いかける趣向なのだが、メンバーが笑顔で逃げる中、飯塚の口は隠れていた。そう、しっかりとマスクをしていたのだ。とはいえ(?)、黒地に、むき出しの歯が描かれたデザインだった。筆者だけかも知れないが、(ヒールらしいデザインだよな)と嬉しくなった。2010年、後楽園ホールの4階の控室隣の洗面所で、歯を磨く飯塚に出くわしたのを思い出した。直後の試合で、やはり少なからず感じるものがあった。飯塚がふんだんに噛み付き攻撃を見せていたのだった。実直なプロ意識と言えばそれまでだが、ヒールターン前の、真面目を絵に描いたような飯塚と重なる部分があった。

 2019年2月21日、結局、一言も挨拶せずにリングを去った飯塚。唯一、残されたのが、まさにアイアンフィンガーだったわけだが、ヒールターン後の飯塚同様、このご時世にして珍しく、謎めいた存在。言い換えれば、雄弁に語らない存在。そしてそのことが、この凶器を生きながらえさせて来たと言ったら、大袈裟に過ぎるだろうか。

 争奪マッチでは、どちらが勝つにせよ、この凶器は封印されることになる。最初、こちらを聞いた時、思った。「そんなこと言って、勝った方の意向で、今後もなんとでもなるのでは?」しかし、今、考えると、煌びやかな注目をアイアンフィンガーが浴びるのは、一度きりでいいのかも知れない。
引退後、過去2回の登場とも、素手で現れた飯塚。もしまた登場した時、その手にアイアンフィンガーがあれば、それが最高に思う。

(お知らせ:冒頭にも少し触れた、新たな拙著『笑えるプロレス』が、ファミリーマート、ローソンを中心とした全国のコンビニエンスストアで発売中です。コンビニ専用書籍となりますが、ご興味のある方は手に取っていただければ幸いです)

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

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