2020/12/20 14:41

プロレスに一番近いファイナリストは?M-1に挑んだプロレスラーたち!M-1グランプリ目前!プロレスとお笑い芸人特集!

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12月20日放送『M-1グランプリ』決勝に、プロレス好き芸人登場!?


 今年の本連載もいよいよ残り1本を残すのみとなったが、昨年のこの時期、個人的に驚いたことがある。お笑いの賞レースの中でも、最注目のそれである『M-1グランプリ2019』の結果発表の翌日、こんなニュースが流れたのだ。

「(同賞レース3位に終わった)『ぺこぱ』の名付け親は、プロレスラーの赤井沙希」。

 ご存知、元プロボクサー、赤井英和を父に持つ、DDT所属の女子選手である。なんでも両者は、今でこそ違うが、昔は同じ芸能事務所に所属(※オスカー・プロモーション)。当時、『先輩・後輩』というコンビ名で活動していたぺこぱが、「改名をしたい」と言い始め、飲み会の席で名付けたのが事務所の先輩にあたる赤井だったという。その時期、韓国語にはまっていた赤井。『ぺこぱ』は韓国語で「お腹空いた」という意味で、一度聞いたら忘れない響きと、ハングリー精神を忘れぬようの命名だったとか。この事実をこの時初めて知った筆者も、改めて、プロレスとお笑い(芸人)の繋がりの多彩さに、感じ入ったものである。

 それから1年。今年も12月20日(日)、『M-1グランプリ2020』が放送された(テレビ朝日系列)。果たしてプロレスと繋がりのあるコンビは、ファイナリストに残っているのか?決勝当日に決まる敗者復活組には?

 今回の当欄は、お笑い芸人とプロレスの知られざる繋がりの逸話を含め、プロレスとお笑い芸人というテーマでお送りしたい(※文中敬称略)。

あの大物お笑いプロデューサーも、プロレスきっかけで改名!


 お笑い芸人にプロレス好きが多いのは、『アメトーク!!』のプロレス回を見てもおわかりのことと思う。『越中詩郎芸人』の回はもともと、越中の熱狂的ファンであったケンドー・コバヤシのプレゼンによるものだったし、三沢光晴と、そのファンから始まった博多大吉が、後年、昵懇の仲となったのも知られるところ。くりぃむしちゅーや、タカアンドトシの、今ではベテランと言っていい人気者も、もともと学生時代、互いがプロレス好きであることから絆を深め、コンビ結成とあいなった。近年でも、オードリーの若林正恭が、ブシロード体制下の新日本を中心とする新手の(?)プロレス好き芸人に。「今、会いたい人は?」の問いに、「WWEに移籍した中邑真輔選手。会ったらテンションが上がって、きっと子供みたいにドキドキします」と答えていたのが初々しい(『読売新聞』2016年9月25日付朝刊)。

 当然、中にはプロレスラーを目指した面々も。プロとしてはハチミツ二郎が有名だが(※2019年に引退扱い)、入門を果たした人材まで広げると山田花子(JWP)や鉄拳(FMW)、ピン芸人・キャプテン渡辺(UWFインターナショナル)が有名。山田と渡辺は、それぞれ、受け身や腕の負傷で辞めていったが、鉄拳のみ、不明であった。それだけに、同氏のネタ本に、『こんなお札は嫌だ。→ 肖像画がターザン後藤だ』とあったのが妙に気になってしまったが、実のところ、レフェリーとしての採用だったことを上から教えられず、失意の退団だったようだ。なお、ピコ太郎に扮して世界的にブレイクした古坂大魔王も、もともと極度のプロレスラー志望。小学5年生の時、地元、青森に猪木が来ると、目の前まで進み出て、「弟子にして下さい!」と直談判。しかし、猪木が背中を強烈に殴打。「痛いか!?」と問われ、「痛いです!」と答えると、猪木は一言、「じゃあ、やめろ」。「実際、崩れ落ちるほど痛かった」(本人談)ので、あっさりとリングへの矛先を収め、もう一つの夢であるお笑い芸人を目指すことになったのだという。因みに、この述懐は、「今、考えると、猪木さんがお笑い芸人への背中を押してくれたわけです」と、らしく続いている。

 因みに、有名お笑いプロデューサー、テリー伊藤が、本名の伊藤輝夫から現行の芸名にしたのは、ザ・グレート・ムタがきっかけだったって、知ってました?「武藤さんと違って、悪役で大暴れする姿に、『そうだ、俺も名前を変えよう!』って」(本人談)。げに、プロレスの影響力の凄さ、いかばかりと言ったところだ。

死闘!? M-1vsプロレスラー!


 では、逆のパターン、つまりは、プロレスラーとしてデビューした状態から、お笑い芸人を目指す例があるかと言えば、あるとも言える。今回の主題に沿って言えば、そう、まさにM-1グランプリにチャレンジしたタッグ、いや、コンビがいるわけだ。

 先ず同大会1回目の2001年には、(当時)大阪プロレスの、スペル・デルフィン、えべっさんがエントリー。その名も『なんで家いるか・えびす』。なんと3回戦まで進出。惜しくも準決勝直前で敗れたが、M-1黎明期らしく、全参加者数は1,603組(昨2019年が総勢5,040組)。よって、3回戦の時点で、既に残り35組しか残っておらず、まさに大健闘。2人ともマスクマンながらスーツ姿で漫才をするという妙な出で立ちもウケていた。

 2005年には、『ハッスル』の登場人物であるアン・ジョー司令長官と島田二等兵が挑戦。コンビ名は所属勢力だった『高田モンスター軍』をそのまま拝借。1回戦は突破も2回戦敗退した。2008年には女子プロレスを引退していた脇澤美穂が、お笑いスクールの同期と組み出場。コンビ名は、相方の吉川崇の名も含め、『吉川☆ミホカヨ』。ん?『ミホカヨ』と言えば、脇澤と納見佳容のタッグ名だったはずだが……。実はこの名称をいたく気に入っていた脇澤が、自らの芸名に『ミホカヨ』を切望。自分1人の名でありながら、納見の快諾を得ての命名となったのだった。然るに、今でも脇澤にとっては、生涯のベストパートナーは、納見佳容だとか。この流れで付言もどうかと思うのだが、『吉川☆ミホカヨ』は1回戦敗退に終わった。

後楽園ホールの常連芸人も。


 さて、いよいよ今年のM-1である。ファイナリストでプロレスと関連するコンビと言えば、先ず、なんといっても『ニューヨーク』のボケ担当、嶋佐和也。筆者自身、何度も後楽園ホールで見かけたことがあり、毎回とは言わないまでも、通っていると言っていいレベルというマスコミ評も。なぜかライガーと漫才を自身の動画チャンネルで披露したこともあった。なお、極真空手の有段者でもある。実は武藤敬司と同郷でもあり、もちろん嶋佐にとって武藤は故郷のスーパーヒーロー。この辺、昨今、武藤関連のテレビ番組監修(※来年年頭放送)に携わった筆者としても、それとなく結果が楽しみではある。

 続いて、『ウエストランド』も挙げておきたい。自らのインターネット番組に、なぜか女子プロレスの面々(主にスターダム)がよく訪れていた。ツッコミ役の井口浩之は実際、スターダムの生観戦も。来年、武道館大会を控える同団体の躍進に合わせ、栄冠を得たいところだろう。

 敗者復活組では、冒頭のぺこぱはもとより、こちらも昨年のファイナリスト、『からし蓮根』のツッコミ、杉本青空を外せない。SNSで所属を新日本プロレスとするほど、同団体に心酔。写真撮影でも、棚橋のエース・ポーズを披露。1994年生まれの26歳だけに、これからの新日本の躍動と絡んでいけるフレッシュさも捨てがたかろう。逆に、敗者復活組で「地味で、バックドロップが決め技だった昔のプロレスが大好き」というのが『学天即』のツッコミ、奥田修二。「僕たちの漫才も今風の派手さはあまりない。昭和のプロレスっぽいと思っています」(『朝日新聞』2014年6月23日・大阪版夕刊)。とはいえ、賞レースを何度も制した、言わずと知れた実力派。実は今年が結成15年目の参加ラストイヤーだけに、シーソーゲームならぬ、一発大逆転の昭和プロレスらしさをどうしても期待してしまうのは、筆者も昭和世代だからだろうか。捲土重来なるか、注目したい。

今も残る、三沢の優しさ。


 お笑い芸人好きからプロレス好きになり、そしてプロレスラーになった(おそらく)稀有な例も。出身の大阪で、お笑い番組が多く、プロレスラーの物真似もその中に多数あったため、「これのオリジナルは、どんな感じだろう?」と中学3年時、深夜にプロレスを観たところ、そこからはプロレスの虜に。WWEで今を時めく、アスカのエピソードである。

 プロレスラーの物真似芸人の逸話は枚挙に暇がない故に、最後に一つだけ。三沢光晴の物真似で知られるイジリー岡田が、入場ガウンを含めた物真似のためのコスチューム一式を、本人公認の店で揃えに行ったところ、既にそのお代を三沢が支払っていたのは有名な話だが、その岡田、三沢が亡くなったのを知った日は、自身が座長を務めるお笑い劇団の千秋楽。ロビーには三沢からの花もあった。涙が止まらなかったが、舞台ではギャグを飛ばし続け、無事、公演を終えた。「明るいことが大好きな三沢さんだったら、絶対にこの方が喜んでくれるはずだと」。その岡田、大のプロレス好きは父の影響。それゆえ、自身が使う三沢仕様のガウンを着せてあげたことも。すると、父の携帯の待ち受け画面は、そこからずっと、その時の写真だという。

「三沢さんのおかげで、思わぬ親孝行が出来たんですよね……」(岡田)

 プロレスもお笑いも、舞台に自分を賭ける真剣勝負。今後も互いに良き影響をし合っての発展を、願ってやまない。

*11月24日(火)より、新たな拙著『さよなら、プロレス (伝説の23人のレスラー、その引退の真実と最後の言葉)』(standards)が発売中です(※電子書籍もあり)。ご興味のある方は、宜しくお願い申し上げます。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

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