2020/5/18 8:12

後楽園ホールは1席空け?無許可の客入れ道場マッチはご法度!道場マッチ?ソーシャルディスタンス?新日本プロレスの興行復活を展望!

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ハロルド・ジョージ・メイ社長が動画にてメッセージを発表!


 コロナ禍が本格的な猛威を振るい始めた3月下旬、夕方のニュース番組『news every.』(日本テレビ)を観て驚いた。なんとプロレスが放送されていたのである(3月27日放映分)。その(オンエア上の)呼称は、“ソーシャルディスタンス・プロレス”。アメリカはGCWのジョーイ・ジャネラvsジミー・ロイドの試合が放映されたのだが、2人とも互いに一切接触せず、間隔を空けて戦っていた。日本での大会開催もあり、超過激なデスマッチを主軸とするGCWらしい、なんとも常軌を逸した試合形式。SNSでも話題となり、椅子攻撃の前に、それを消毒するなど、細部に渡りユニークではあったが、まさかこれが今後のプロレスの主流になるわけもなく、逆にコロナ禍の影響の厳しさを感じさせた。

 5月13日、遂に業界の雄、新日本プロレスからファンに向けてメッセージがなされた。ハロルド・ジョージ・メイ社長が動画にて声明。コロナ対策、これまでの活動を振り返るとともに、この先に向けてのロードマップ案を発表したのだ。

 約10分間に渡る同社長の言説は、簡潔及び誠実かつ、熱のこもったそれであり、ぜひ読者の方も視認して頂きたいが、うち、今後に向けての注目の発言もあった。ズバリ、今後の試合開催についてである。以下が、その大意である。

「緊急事態宣言が解除され、安全が確保出来たと判断された上で、無観客試合を日本国内、そして、ロスにある道場でおこなう。それを経て、観客を入れた興行もおこなって行く。来場者に対する、消毒や検温を実施はもちろん、ソーシャルディスタンスに配慮した座席間隔での観戦のお願いも、実践して行く」

 非常にオーソドックスな漸進ぶりを自らに課したわけだが、業界の顔としての社会的責任を自認した上での公言と見ていいだろう。

 以前、無観客試合については特集した当欄だが、今回はこの申言を受け、「道場マッチ」、並びに、ソーシャルディスタンスに対する諸方面の対策について。スポットを当ててみたい。

無許可では出来ない、客入れ『道場マッチ』


『道場マッチ』を日本で最初におこなったとされるのは1990年のSWS(11月10日)、新横浜にあった仮道場でおこなわれたその試合は、入場料500円。全額チャリティーに回されていたが、考えてみれば会場費もかからず、若手も試合経験が積めるとあって、特に女子プロレスでは頻繁に開催。JWPやアイスリボンでは、お馴染みの企画となっていた。特にJWPにおいては、試合形式に趣向を凝らしていたのがその特徴で、リング上の水たまりに体がついたら負けの“水たまりマッチ”や、試合中の雄叫びを丁寧語に限る“丁寧語マッチ”、さらに、各種コスプレを披露しての試合などなど。バトルロイヤルで、退場しても違うコスプレに着替えれば復活出来るなど、さまざまな工夫で、ファンや地元の人達を楽しませていた。因みに、入場料は得てして3000円であったが、足立区に道場があった時代、同区在住の方は1000円で観戦が可能だった。そんな地域密着ぶりを示すかのように、同道場マッチは、足立区の地域コミュニティチャンネルでも、放送されている。

 もちろん男子プロレス界では、『健介オフィス』(後の『ダイヤモンド・リング』)の、埼玉・吉川市における道場マッチが有名。若手中心で、1大会2~3試合のマッチメイクであったが、中嶋勝彦vs宮原健斗など、今考えれば至宝と言えるカードが実現している(2008年2月16日他)。ゼロワンも、竹芝の道場において『元気』シリーズや『海岸プロレス』(道場が海の近隣にあったため)なる道場マッチのシリーズを開催している。

 ところが、新日本、全日本、ノアのメジャー3団体となると、こういった(国内での)道場マッチはなく。新日本、全日本の道場は、選手たちの寮と直結する部分があり、また、雰囲気も、まさに神聖なそれだったこと、ノアについては非常に綺麗な道場で、観覧も可能に思えたが、そもそもディファ有明が隣接していたためではないかと、私見ながら考えられる。国内の新日本プロレスで道場マッチがおこなわれた例は、2004年に刊行されたDVD『ナガタ・プロデュース道場マッチ!』に収録するための3試合など、僅かな例しかなかったと考えられる。なお、試合の内訳は、矢野通vs後藤洋央紀、安沢明也vs田口隆祐、山本尚史(現ヨシタツ)vs井上亘だが、これとて、観客を入れた試合ではないため、別物として捉えた方が良いだろう(とはいえ、コロナ禍では当然無観客配信が予期され、逆にこちらが本流となるだろうが)

 なお、SWSの道場マッチの回顧取材の際にうかがったが、この『道場マッチ』は、単純に客を入れて、お金を取りますという簡単なものではなく、消防署による消火設備の設置確認等、地域とのもろもろの手続きを踏まねば開催があたわぬことも付記しておきたい。

ロス道場からの配信に、最注目か


 転じて、客を入れての道場マッチの設備が完全に整っていたのが、新日本プロレスの、新旧・ロス道場。こちらについては以前も当欄で特集させて頂いたが、旧道場ですら、広さは現行の新日本プロレス道場(日本)の約3倍。同所での記念すべき1回目の道場マッチ『TOUKON』は、2003年6月21日に開催されたが、実を言って、ロス道場の選手を知らしめたい、当時の要人、サイモン猪木の苦肉の策。とはいえ、全5試合ながら、現地の日本人約7割を含む、300人の観客が集結。TVテーピングし、その動画の評判も上々で、ここからブライアン・ダニエルソン等、有望な選手たちが巣立って行く結果に繋げた。なお、この第1回大会、日本からは何と、これが海外での初試合となった棚橋と矢野が参戦。矢野はセミでジャスティン・マッコリ―と、棚橋はメインで、パンクラスやHERO'Sにも後に参戦する、ジミー・アンブリッツと激突。どちらも敗退したが、特に棚橋にとっては刺激的な敗戦だったようで、試合後、「温室育ちでした……。僕を海外修行に出して貰えませんか?」と吐露している。なお、2005年11月にこちらに入門して来たのが、当時24歳のアイルランド出身の練習生ファーガル・デヴィット。そう、後のプリンス・デヴィットだ。こちらはその才能を前出のサイモン猪木に見込まれ、(既に英国でプロデビューしていたが)日本での新日本プロレス道場入りとなった経緯がある。道場マッチ『TOUKON』はその後も続き、ルチャドールとの対抗戦や、『ピカチュー』なる選手が出現するなど、良い意味で自由かつ、溌剌とした素地が出せる場だった。そんな伝統は、2018年3月、新規移転なった新たなロス道場にも受け継がれ、同24日には初の道場マッチもおこなわれ、現在に至っている。

 日本行きを虎視眈々と狙う青い目の金の卵たちにとっては、まさにこちらでの道場マッチはチャンスそのものであり、実現の際は状況的に、かつてない注目を浴びるだろう。配信等、楽しみにしたい。

気になる、ソーシャルディスタンスの距離感


 4月25日、南米はニカラグアで、プロボクシングの興行が観客を入れておこなわれた。約8000人収容のアレクシス・アルゲリョ・スポーツセンターに集まった観衆は約800人。選手はマスクをつけたまま入場し、リングに上がってようやくそれを外す徹底ぶり。しかし、更に如実にコロナ対策を感じさせたのが、その客席の模様。客は、横は2座席分空けて着席。前後1列は無人とするという慎重さだったのだ。同じく、5月8日、観客を入れて、世界最速でペナントが開幕した台湾のプロ野球では、前後1列間隔はもちろん、横には3席分の空白を取っていた。因みに、売店は全て閉まっていたとか……。

 日本のプロレスにおいても、特にまだ観客を入れていた3月には、さまざまな方策を講じていた。来場者に対する検温や手の消毒はもちろん、大日本プロレスやZERO1等の各団体、座席間の間隔確保は徹底。また、握手会や2ショット撮影の禁止、選手は売店に立たないなど、予防にも余念がなかった。無観客試合だったスターダムの大会に解説者として来場した獣神サンダー・ライガーですら、マスクの上に風邪用のマスクをしていたほどである。

 新日本プロレスが観客を入れて興行を再開する際、こういった対策が基本中の基本になるのは書くまでもないだろう。気になるのが、ソーシャルディスタンスとしての座席の配分の仕方だが、冒頭のメイ社長の動画では、「1席ごとに空ける」という発言がある。もちろん場所によるし確定でもないだろうが、ちょうど現在、DDTも、このソーシャルディスタンスを加味した新たな座席表の作成に勤しんでおり、そちらによると、例えば後楽園ホールは、1席ごとに横を空ける案が出ているようだ(※あくまで1案)。内々の話だが、5年ほど前、後楽園ホールは、「大体4割入れば、会場費と経費はペイ出来る」と、ある団体関係者に聞いたことがある(※団体によるかもだが)。1席ごとに間隔を空けると、満員でもおおよそ半分の入りであり、ここ辺りがリミットなのかも知れない。

 加えて、新日本常打ちの大会場、両国国技館については、特に人気興行の場合、マス席を4人掛けにして来たが、こちらも2人掛けにするのが、しばらくは賢明だろう。余談だが、WWEが両国国技館を使用する際、なぜか得てして『マスごと』の価格になっており、いわば、そこからは何人座ろうが自由という区分けをしているだが、上限を2~3人にして、こういった売り出し方もアプローチとしては考慮してもいいかも知れない。

 慎重な中にも、業界のリーディング・カンパニーとしての責務に溢れるメッセージを出してくれた新日本プロレス。その姿勢こそがプロレス界の発展に繋がると銘記し、我々も歩みを共にして行きたい。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

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