2019/7/15 10:26

ブーイング上等!白鵬も認める根性!新日本の東京ドーム大会参戦!? 日菜太特集

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ブーイング上等!白鵬も認める根性!新日本の東京ドーム大会参戦!? 日菜太特集
3.0

70kg級のトップ選手!


 いよいよ7月6日(日本時間7日)より新日本プロレス『G1 CLIMAX』。が開幕。今年は初参加の大物含め、例年以上に優勝が読めなくなっている現状だが、同時期、新日本プロレスが誇るもう一つのビッグイベントも、いよいよ始動の足音が聞こえて来た。来年1月4日、5日におこなわれる東京ドーム大会2連戦のチケットの一般発売が、12日(金)からなされるのだ。それこそ今年の1月4日に開催が発表されてから、ライガーの引退や、AEWとの関連の憶測を含め、多大な話題を呼んでいる2連戦。ところが、ここに来て、意外なところからまた火の手が上がった。

 7日4日、キックボクサーの日菜太が同大会への参戦をぶちあげたのだ。

 もともと主戦場にするキックボクシングイベント『KNOCK OUT』が本年5月に新体制となった時も、こちらをアピールしていた日菜太。それもそのはず。新日本プロレスも『KNOCK OUT』も親会社は同じ『ブシロード』。同席した木谷高明キックスロードオーナーに訴えたのだ。

 繋がりとしては決してあり得なくはなく、むしろ自然な流れで実現しそうな予感もさせるのだが、目についたのが、これについての日菜太の一大アジテーション。「(実現したら)めちゃめちゃブーイングされて入場したいです」「(カードは)ガチガチのキックボクシングでもいいし、プロレスラーとやるのでもいい」etc……。

 ニュースの類では目立つ発言を煽情的に取り上げられたきらいもあるが、この決意表明に、早くもプロレスファンからは、否定的な反応が色濃く出ているという報道もある。だが、先ず、この日菜太がどういった真意でこれらの言動に至ったか、知ることも大事だろう。

 今回の当欄は、この日菜太の人物像並びに、新日本プロレス東京ドーム大会における、異種格闘技参戦の歴史に迫りたい。

故郷、並びに元所属ジムから、“湘南の太陽”の異名も。


 日菜太は1986年、神奈川県生まれ。サッカー部だった高校3年の時、フィットネス感覚でキックボクシングを始めると、その面白さに開眼。大学進学後、キックボクシング興行『R.I.S.E.』のアマチュア大会『KAMINARIMON』の70kgで優勝(2005年)。3ヶ月後のプロデビュー戦は負けたのだが、地道に努力を続け、2008年7月には『R.I.S.E』の初代70kg王者に。この時期、大学4年生だったため、就職活動はせず、キックのプロとして生きていく方針を決めた。大学卒業間際の2009年3月には、当時の立ち技中量級の花形、『K-1 WORLD MAX』(以下『MAX』)に参戦。一躍衆目の的となった。まず注目されたのは、今も昔も変わらぬ、左ミドルキックの強さ。もちろんK-1はキックボクシングなのだが、特に中量級は魔裟斗以降、パンチで打ち合うスタイルが主流で、キックはあくまでローを中心にした攻防が多かった。そこに来ての日菜太の左ミドルは、大袈裟でなく金を取れる凄まじい一発で、しかるに、この時期ついた異名は『悪魔の左足』。当時所属のジム『湘南格闘倶楽部』の岡林章会長が名付けたものだが、実際、ジムのサンドバックは、大人の腰の高さのところに、特別にビニールテープで補強がしてあった。日菜太がミドルキックですぐに壊してしまうのだった。腕で防御されることが多いミドルはポイントにはなりにくいのだが、その分、その腕をも壊れよという威力を持つのが日菜太流なのだった。気が早いが、万一、件の東京ドーム大会に日菜太登場の場合は、ぜひこのミドルキックの注視して欲しい。

 もう一つは、2009年2月23日の『MAX』時に大学卒業を控えていたこと。神奈川大学理学部化学科の4年で、『白衣のファイター』などとするスポーツ紙も。K-1本番10日前の公開練習直前に卒論を提出。A4用紙53枚の大作で、テーマは「水溶性高分子と水の相互作用」。本人が語るに、「地球に優しい物質の研究」らしいが、なにげに試合の本番にまるで支障なく卒論を仕上げ、しかも「徹夜はしませんでしたよ(笑)」と言う。自己管理能力の高さも見せつけた。

 注目の『MAX』でのトーナメントは、1回戦で前年同大会覇者の城戸康裕をいきなり撃破。ところが同試合で鼻骨を骨折し、以降は残念な棄権に。だが、日菜太という名は、立ち技格闘技界において、確かに大きく刻まれた。

 2010年5月には、横綱・白鵬のトレーナーでもある内藤堅志氏と知己を得、練習も充実。白鵬とはぶつかり稽古も経験。その際の白鵬曰く、「根性あるなあ。ウチの部屋にぜひ来て欲しい」。同年7月には、強豪アルトゥール・キシェンコを、肝臓を狙う秘技『三日月蹴り』からKO。直後に、こんな発言をしていた。

「正直に言って、いま一番やりたい選手は魔裟斗さんです。戻って来てくれないかなって思っています。そうやって上手くバトンタッチしてもらいたい」(『ゴング格闘技』2010年10月号)

 これは、一見、己の強さへの自負に見える。だが、日菜太には、別に、一種の危惧があったのだ。

格闘技中継、冬の時代を経て……。


 2015年12月29日、日菜太は、元アマレス五輪代表であるMMAファイター、宮田和幸と、立ち技と総合格闘技のラウンドごとのミックス・ルールで激突。得意の立ち技で1R以内に勝利した。イベント名はご存知『RIZIN』。日菜太は自らツイッターで、榊原信行『RIZIN』実行委員長に、この大会への出場を直訴。そして、出場記者会見では、次のように語った。「5年間、テレビで格闘技をやってなかったから、今回、どんな選手が出ても、横一戦だと思います」……。そう、日菜太がキシェンコに勝った2010年を最後に、一時は風物詩と言って良かった大晦日の地上波格闘技中継は消滅していたのだ。『MAX』のトーナメントも通年開催ではなくなっていった。日菜太はこの時代の苦しさを肌で感じたのだろう。厳しいまでの意気込みが感じられる言葉が、そこかしこにある。「MAXの選手たちが全然試合をしてないじゃないですか。自分はいつも強い奴とやってるんだぞって差も見せたいです」(2011年4月、新日本キックボクシング協会のイベント『TITANS』に出場が決まり)、「僕はK-1のチャンピオンになりたくて、就職を辞めて選手としてやる決意をしました!K-1にも大事にされず、試合もない。飯を食う為と強くなるために試合をしてる!K-1があるならK-1に出たいけど」(2011年5月、本人のツイッターより。K-1の諸方面への未払い問題が発覚した直後)、「僕がメジャーになって、キックボクシングでメシを食える選手が一人でも増えたらいいと思います」(前出『RIZIN』参戦にあたり)、「キックボクシングを“ビジネス”にしたいんです。実際チャンピオンクラスの人でも(キックボクシングだけでは)ご飯が食べられないことが多いんです」(『月刊BOSS』2017年6月号)。

 それらを経ての、新日本プロレスの東京ドーム大会参戦希望。総じて言えば、こういうことにもなろう。“出るとしても、ただ出るだけでは意味がない”と。

現在の異名は、『ライジング・サン』


 実は立ち技格闘技については、新日本はその記念すべき初めての東京ドーム大会で、既に試合を組んでいる(1989年4月24日)。カードはマーシャル・アーツ(プロ空手)マッチとして、『ベニー・ユキーデvs飛鳥信也』。両者ともこの方面では伝説的なビッグネームである。新日本プロレスとキック界の関係もあったろうし、関係者筋からのチケットの購入もあったことだろう。プロレスのリングロープは3本なので、ロープ際に追い込まれた時、その隙間から両者が場外に落ちぬよう、ロープの中央に、縦に縄が渡されたのをよく覚えている。試合は2分5Rで、結局時間切れ引き分けに終わったが、内容もなかなかの好ファイトであった。

 ところが、試合中、席を立ってしまうファンが続出。そして、プロレス界初東京ドーム大会ということで、いわゆる増刊号も含め、専門誌もこのイベントを大々的に特集したのだが、どの雑誌を見ても、ユキーデvs飛鳥は、小さな写真一枚の扱いだった。考えてみれば、専門誌とはつまり、プロレス雑誌なのだから当たり前なのだが。

 また、これは少し違うかもだが、2003年5月2日の新日本プロレス・東京ドーム大会では、総合格闘技ルールで、猪木の秘蔵っ子、LYOTOと、パンクラスの謙吾が激突。同年10月13日の東京ドーム大会では、総合格闘技ルールを模した、アルティメット・クラッシュ・ルールでパンクラスの渋谷修身と、モンゴルの総合格闘技戦士、ハリウン・ボルトバータルが対戦。果たしてこれらの試合があったことを、どれほどの客が覚えているだろう?プロレスの興行では、他の格闘技の試合は、どうしても“添え物”になってしまうのだ。しかるに、万が一、今秋に、「『KNOCK OUT』から、キックボクシングの試合も1試合、来年1月の東京ドーム大会に提供されます」と新日本プロレスから発表されたところで、プロレスファンとしては、「ああ、そうなんだ」と思う程度ではないだろうか?

 本人の意識はいざ知らず、日菜太の東京ドーム大会へのアジテーションは、少なくともこれを打開するものと言えよう。日菜太としては、添え物では意味がなく、自分、ひいては、キックボクシングに注目してもらわねば意味のないことだからだ。

 そして、仮に試合が組まれたとしても、日菜太がプロレスをやることは先ずないだろう。というのは、K-1が下火になった時、『MAX』のチャンピオンにもなったことがある長島☆自演乙☆雄一郎がプロレスに参戦。これを日菜太がチクりと刺したことがあったのだ。曰く、「『MAX』の王者にもなった選手なのに、キックボクシングを背負う気はないのか」と。

 つまり、もし日菜太が新日本に上がるなら、純粋なキックボクシングの試合か、心得のある新日本プロレスの選手とのキック形式の試合となるのではないか?この場合、相手を含めて、盛り上げが非常に大事になる。

 AEW勢の襲来も期待される来年の東京ドーム2連戦。異分子さながら名乗りを挙げた日菜太の思いがどこまで届くか、ぜひ注目したい。

この記事を書いたライター: 瑞 佐富郎

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