2019/2/28 12:18

ダサカッコいいおっさんはプロレスラー!?『おっさんのケーフェイ』【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】

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ダサカッコいいおっさんはプロレスラー!?『おっさんのケーフェイ』【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】
5.0

河川敷で空気人形とくんずほぐれつのプロレスごっこをする謎のおっさん。そしていまどきの流れに乗れず、教室の隅っこで傍観者となっているいじめられっこ気質の小学生。

そんなメインストリームから外れた2人がプロレスによって引き寄せられ、勘違いと偶然と、本当の痛みが混ざり合う瞬間を描くのが映画『おっさんのケーフェイ』。

ほんの少しあらすじを書こう。今が楽しくない男子小学生ヒロトは、偶然地元の道頓堀プロレスを観戦。ひとたびご当地レスラー・ダイナマイトウルフのとりことなる。マスクを見て一致する河川敷のおっさん。あのおっさん、正体はダイナマイトウルフやったんや! 少年は友達を巻き込み、おっさんの元へプロレスを習いに通い詰める。しかしある日家族でテレビを見ていると、ダイナマイトウルフが市議会選挙に出るというニュースが流れ、そこで素顔を見せたダイナマイトウルフは……!? え、あのおっさんは誰なんや!?

おっさんを演じるのはキタノ映画からピンク映画にまで出る川瀬陽太。プロレス指導には道頓堀プロレス・空牙。ダイナマイトウルフには2代目マッハ隼人こと赤城。JKリフレ嬢として山下りなも参加。

タイトルに怪訝な顔をしてしまうプロレスファンも多いことだろう。ただこの映画を見るときにはちょっと横において見てほしい。映画内ではこの言葉の意味には全く触れず、言及もしていないからだ。ただ意味をなんとなく知っている人は映画を観終わった瞬間「なるほど」と頷くだろうし、知らない人もこんな感じなのかなと触れられるはず。パンフレットによると監督は、もともと心霊ものだったプロットをマッスル坂井主催の『マッスル』を見てプロレスものに書き換えたという。端々のワードを広い考察するとおそらくアイススケートから始まり鈴木みのるが最後に登場する『マッスルハウス4』だろう。嘘と本当を行き来する物語があのキスアンドクライから生まれたと考えると感慨深い。

劇中のプロレスラー、ダイナマイトウルフの入場曲はチッツが約13年前から演奏する楽曲『メタルディスコ』。いかにもインディーズロックな、けして厚みはないけど熱いギター音とボーカルが、インディペンデントの悲哀と、完璧じゃないけどそれを情熱でカバーするダサカッコよさを最高に体現している。タイトルに使われる「ケーフェイ」もだが、劇中の河川敷のその後や、キーポイントとなるその後や議員レスラーの内面もは事細かに説明されず、ちょっとしたカットでぼやっと示される「察して感。これがまた、おっさんのケーフェイのおっさんのケーフェイのたる所以を示していて愛おしい。舞台は平成なのにどこかのどかな昭和の空気感。それでも浸食してくるダンスに不倫、都市開発といった都会的な文化圏に前のめりでクロスボディを打つ快作だ。

中学生にプロレス雑誌を取られ、こんなもん見てるのかとバカにされ、スリーパーをかけられそうになる少年におっさんは一喝する。「やれるにもやられかたっちゅうもんがあるやろ」(意訳)。このシーンが忘れられない。

追伸。ジムの青年役の原篤志さんがプロレスのレフェリーとか、サポート役スタッフにものすごくいそうな風貌とたたずまいでいい味を出してたなあ……。


映画「おっさんのケーフェイ」公式サイト

この記事を書いたライター: 漁師JJ

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