2019/1/28 10:35

「闘魂VスペシャルはAVのスタッフが撮影から編集までしていた」は嘘!?【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】

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「闘魂VスペシャルはAVのスタッフが撮影から編集までしていた」は嘘!?【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】
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新日本プロレスにはひとつの都市伝説があります。90年代に発売していたセルビデオシリーズ「闘魂Vスペシャル」。新日本プロレスのテレビ番組「ワールドプロレスリング」が深夜帯に追いやられた1991年に発売されたこのビデオシリーズは、テレビ朝日中継部隊と別働隊が撮影を行っていた。このため流れた噂が“闘魂Vの撮影はアダルトビデオ(AV)の制作陣が撮影、編集していた。なぜならプロレスもAVも裸のエンタテインメントで1秒先は何が起こるかわからない親和性があったからだ”と。

発売元であったヴァリスの代表であり、ほとんどの作品でカメラを回した小路谷秀樹監督は証言します。

話に尾ヒレがついて「闘魂VはAVのスタッフが撮影から編集までしている」。「AVを作り慣れてる人たちは、次にどう動くかわからないプロレスの試合にも対応できるから重宝された」みたいな噂が流れていたみたいですが、それは完全な都市伝説ですね。ただ単にAVの編集所を借りた、というだけで、すべての作業は僕ひとりでやってるので、AVのスタッフ総出で作ったわけではありません。(メディアックス刊『誰も知らなかった猪木と武藤 闘魂Vスペシャル伝説 失われた時代を撮り続けた男の証言 』2018年11月30日発行、36頁)
監督自身が村西とおる率いるダイヤモンド映像のAV監督出身ということは明かしつつも、プロレスの映像はプロレスの好きな人間が作るべきと小路谷監督。AV好きだから、関わっているからとプロレス好きだとは限らない。とはいえ、AVライターとプロレスライターを兼務する方が多かったり、AV女優さんにプロレス好きがちらほらおり、世間の比率よりやや高めなのも事実。またバックボーンを選手に話しても拒否反応がないというのも面白い話。スタッフ一人だから、元AVスタッフが撮影まで編集までしているというのはホントでもあるわけですけどね。

小路谷監督がプロレスに関わるのはアントニオ猪木さんのドキュメンタリー撮影がきっかけなのですが、猪木さんにAV監督であることを明かすとこんなことを言われたそう。
僕の説明を聞くと、猪木さんはいきなり『バカヤロー!』と例の調子で僕を一括し、謎の言葉を投げかけてきました。「おい、お前。俺には裏も表もないからな!」もう、なにがなんだかわかりませんでした。(同上、22頁)
魔法の言葉、『バカヤロー!』 前田アンドレ戦の裏ビデオとかプロレスでも使わないことはないけど、そもそも小路谷監督、裏は取っちゃいないって!

ちなみに闘魂Vスペシャルの最高ヒットは2万本のセールス(長州vsムタ戦)。当時約1万店のレンタルビデオ店があったことからAVにおけるヒット作の扱いが1万本とされていたそうですから(参考:なぜAVのベストセラーは「1万本」なのか? 歴史の変遷│NEWSポストセブン)、そのブーム加減が伺えます。

伝説となった新日本プロレスvsUWFインターナショナル全面対抗戦も闘魂Vスペシャル特別編扱いでリリース(ただし販売はビデオパックニッポン)。ただしこの1995年から売り上げは下降線。nWoブームで多少の盛り返しはあったものの最後のピーク。1996年にサムライTVが開局。ペイパーヴューの開始とCS専門局の時代へ突入。需要の減少とともに闘魂Vスペシャル、そして発売元のヴァリスも消滅。会社を畳む際、映像を手元に残すと未練が残るからと、小路谷監督は倉庫一つ分の映像素材をすべて新日本プロレスに譲渡したそうです。

テープは膨大なもので、保管しておくだけでも、結構な広さの倉庫が必要になります。もう手放してしまった以上、それがどうなっているのかはわかりませんけど、めちゃくちゃ貴重な映像資料になるわけで、新日本プロレスも大事に保管してくれているものだとばかり思ってました。(中略)それでわかったんですね。かつての『闘魂Vスペシャル』の映像が、どこでも流れてないことが。
僕は権利ごと手放しているので、ネットで配信するのもCSで配信するのも自由なんです。ファンの方に言われるのは「ワイルド・ペガサスvsブラックタイガーの映像はどうなってるんですか?」。95年のベスト・オブ・スーパージュニアの青森大会で実現したこの試合は『闘魂Vスペシャル』のカメラしか入ってません。(中略)ビデオには編集したバージョンしか入ってないですが、もちろん、元となる素材はちゃんと残ってますし、新日本プロレスに渡してあります。そんなに熱望されているのであれば、ぜひ、公開してもらいたいし、僕も青森まで撮りに行った甲斐があるというものですが、どうやら「素材がどこに行ったか分からない」らしいんですね。(中略)未練が残らないように、すべての素材を譲渡したわけですが、まさかすべて消えてしまうとは。この不可思議な結末も闘魂Vの伝説に相応しい終わり方だったのでしょうか……。
強要事件や人権問題などを受け、AV女優さんによっては過去の映像が手に入らなくなるこの時代、プロレス映像も手に入らない期間の映像が全然違う理由で出てきてしまっているなんて! そこは似なくていいよ闘魂V!

メディアックス刊『誰も知らなかった猪木と武藤 闘魂Vスペシャル伝説 失われた時代を撮り続けた男の証言 』。それは確かにあった90年代プロレスセルビデオの時代を振り返る一代記。

この記事を書いたライター: 漁師JJ

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  • 日米レスリングサミット見たいよな。

    ID:9887315 [通報]
    (2019/1/29 1:43)
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