2018/9/25 10:30

同業者が明かす「古舘伊知郎のプロレス実況法」/コブラツイストに愛をこめて~実況アナが見たプロレスの不思議な世界~【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】

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同業者が明かす「古舘伊知郎のプロレス実況法」/コブラツイストに愛をこめて~実況アナが見たプロレスの不思議な世界~【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】
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『コブラツイストに愛をこめて~実況アナが見たプロレスの不思議な世界~』(清野茂樹著、立東舎刊)が発売されました。

帯に「実況アナウンサーだから書けたプロレスエピソード集」とあるとおり、
通勤電車へ駆け込む姿、仕事場からの帰り道。生活のあらゆる場面を頭の中で実況してしまうという清野茂樹アナウンサーが、実況アナウンサーという特殊な仕事を通し、プロレスの面白さを伝える著書となっています。

これまで『もえプロ』などプロレスを知らない人に向けて書いた入門書テイストの著作が多かった清野アナウンサーだが、今作は「リングアナウンサーと実況アナウンサーの違い」や「プロレス実況と総合格闘技の実況の違い」。はたまた現役アナウンサーの視点から分析する「日本テレビの実況とテレビ朝日の実況スタイルの違い」など応用編ともいえる内容。「同じ技」であるのに「違う」、「ラリアートとラリアット」、「腕ひしぎ逆十字と腕ひしぎ十字高め」、「ドラゴンスープレックスとフルネルソンスープレックス」などへの著者ならではこだわりも書かれており、プロレスに詳しいファンでも唸らせる。プロレス実況のポイントは解説者に気持ちよく会話を振ることというのも、視聴してるだけでは感じ得ない着眼点。

同じ試合を聴き比べると如実に出るという日本テレビとテレビ朝日の違い。本書で清野アナは夢のオールスター戦(1979年)を書き起こしテレビ朝日は視聴者を煽りスポーツ的に魅せる、日本テレビは品格と同時に娯楽感を漂わすのが基本スタイルとまとめていますが、これは清野アナがプロレス実況アナウンサーになりたくて独自研究と考証を重ねていたこそできる考察でしょう。テレ朝でも古舘伊知郎アナ→辻よしなりアナ→野上慎平アナと紡がれる絶叫系。保坂正紀アナ、田畑祐一アナと紡がれる淡々系と分かれるので、ぜひ実況スタイル分析をもっと細かくおこなってほしい! 

またプロレス実況の歴史とターニングポイントとなった古舘実況に関してはさらに掘り下げて記述。古舘以前と以後を分けるポイントとして、プロレスを拡大解釈して勝手に世界や日本の歴史と重ね合わせる想像力。可能な限り四字熟語をおりこむ言語力。速射砲のようなスピードに加えて、感嘆符や擬音を使うことで「プロレス中継ならず、以降のスポーツ中継をエンターテインメントに変えた」と最大の賛辞を送ります。

古舘伊知郎のプロレス実況がすごかったって、なんとなく知られてるとは思うのですが、意外と言語化されていないんです。誰もやってないんだったら、僕がやるしかないだろうと意気込んで書きました。ただし同業者となった今はいつまでもあがめるばかりではいられません。現役でやってる僕としては追い越さねばならないと思っています。(同書118頁)
以前イベントで古舘プロレス実況を研究するあまり、VHSでそのほとんどを持っていると言っていた清野アナ。実況論的なものも読んでみたいと思った今日この頃でありました。

特別対談として巻末にはワールドプロレス解説者・ミラノコレクションA.T.さん、獣神サンダー・ライガー選手とのインタビューもあり。同じようで違う、解説席に座る2人の目線も面白い!

この記事を書いたライター: 漁師JJ

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