2016/5/25 8:54

堺屋太一さんに学ぶ、プロレスファンに、上下なし【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】

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堺屋太一さんに学ぶ、プロレスファンに、上下なし【多重ロマンチック的ぼくらのプロレス】
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堺屋 太一(さかいや たいち、1935年7月13日 - )は、日本の作家・評論家・元通産官僚・経済企画庁長官(第55〜57代)・元内閣特別顧問。株式会社堺屋太一事務所および株式会社堺屋太一研究所の代表取締役社長。内閣官房参与。様々な博覧会のプロデューサーとしても活動している。(Wikipediaより)
堺屋太一さんは経済系の作家であり、そしてプロレスファンの鑑ともされる人物です。中でも女子プロレスは黎明期からのファンであり、堺屋さんにとってひとつの理想形レスラーとする尾崎魔弓選手のファンでもあります。なぜ業界内外から「プロレスファンの鑑」と言われるのか、その一端が白夜書房「ブブカ」2016年6月号に掲載されておりました。吉田豪さんによる、尾崎魔弓選手インタビューより。

 ――堺屋さんはホントに理想的なプロレスファンだとずっと思ってるんですよ。
 尾崎 うん、すごくいいファン。だってチケットもいまだに買って入ってきますからね。
 ――どんなに偉くなっても実券を買って。
 尾崎 うん、だから買うの遅かったら平気でうしろにしてるよね(笑)。でも、あの人もタダで入ろうと絶対しないんで。そこはちゃんとわきまえてるというか、ふつう偉い人だったらタダで入ろうとするじゃないですか。
 ――団体側も仲良くしといて損はないし、普通「どうぞどうぞ」ってなりますよね。
 尾崎 そう、お互いそれは絶対にしないの。(中略)
 ――理想のヲタというか、理想の応援活動ですよね。適度な距離を保って、ちゃんとお金を払って、力になれることは力になるという。
 尾崎 絶対に出しゃばらないし、偉ぶらないし。
 ――俺がやった感は全く出さない。
(白夜書房「BUBKA」2016年6月号)
東京03・豊本明長さんが言っていました。自分は一ファンであるというポジションを守るために、招待券ではなく、お金を払ってチケットを買う。招待する、されるという関係は、そこに上下関係を作ってしまうから。職業柄いただいてしまうこともあるけれど、どうしてもという場合は、自分のライブのチケットを代わりに渡す。それもできない場合はチケット相当分の差し入れなどをしてるといいます。

お笑いライブでも音楽ライブでも、同業者の顔をよく見かけるライブと、そうでないライブがあります。よく見かけるライブというのは、評判を聞きつけて、もしくは裏方スタッフが極めて多くて、というのもなくはないですが、大概招待券の多いライブ。それが悪いこととは言わないけれど、エンターテインメントとは批評されて、低評価部分を直し、好評価された部分を伸ばすことでより良くなるもの。批評しにくい招待の形を好まない姿勢には、こんな一端もあるのでしょう。チケットの価格とは、ある意味この基準に達しなければ評してもいいという物差しでもありますから。

そして堺屋太一さんは人知れずプロレス界に大きく貢献している人物でもあります。今や新宿・歌舞伎町はプロレス飲食店密集地となり、レスラーに会える聖地となりつつありますが、その中心となってるあの場所は……。

――信用できるって点でいうと、新宿FACE(新宿リキッドルームを格闘技用に改装したイベントホール)が出来たのにも堺屋さんが関係してるって聞きましたよ。
 尾崎 そうそう。もともとリキッドルーム時代に初めてリングを置いてイベントをやったのがウチ(OZアカデミー)ですから。(白夜書房「BUBKA」2016年6月号)
確かライブハウス自体の移転(恵比寿リキッドルーム)は決まっていて、じゃあ跡地を何に利用するかとなった時に、プロレス・格闘技専用にとアドバイスをしたのですよね。最大約600人収容という箱を見て、プロレスにぴったりという先見はズバリ。2004年に新木場1stRING(約300人収容)オープンに加えた、2005年の新宿FACEオープンは、後楽園ホール(約2000人収容)は大きすぎるという団体という中小インディペンデント団体やイベント興行にとって格好の箱となり、今につながるプロレスムーブメントの下支えとなったのは言うまでもありません。

一つの団体のためにじゃなく、やるならその業界すべてのために。直接援助するのではなく、誰かを紹介して面白さを伝えて支援していく。なにより、こんなに大したことをしているのに、選手とは適度な距離を取り続ける。なかなかできることじゃないし、ちょびっと見習わなきゃと思うのでした。堺屋太一さんに学ぶ、プロレスファンに、上下なし。

この記事を書いたライター: 漁師JJ

コメント

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  • 適度な距離感というものがグッときます。
    ひとつの信頼関係を、長い年月かけて構築されているのだなと。
    その距離感が理解できない人が最近特に増えてきた感じがしています。
    SNSの利用で距離感が近くなったのもありますが、それで近づけていることを
    「○○選手と仲良くなった」と、本気にとらえて勘違いされている人が。
    マナーを守って何度も会場に足を運べば、顔馴染みにくらいはなるでしょうし、
    信頼関係ができたりはしますが。でも仲良くという概念はありませんよねえ。

    ひとりのファン・サポーターとしてのポジションを守るために、招待を受けたら
    自分のところに招待することでお返しを必ずする、その在り方も信頼関係に
    大いに結び付くものと思います。

    素晴らしい記事を見せていただきました。

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    (2016/5/25 17:22)
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